中庭のある暮らし【コートハウス編】 2-9
林隆のコラム
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建物や塀で囲まれた中庭(コート、パティオ)をもつ住宅のことを「コートハウス」と呼んでいます。
建築様式のひとつで、庭を建物の中心に置き、部屋はそれを囲むようにコの字型・L字型・ロの字型に配置するケースが代表的です。
中庭は外部からの視線を遮りプライバシーを守りながら、屋外空間であるために採光や通風を確保することができます。
敷地図を見渡して全体をイメージする
建築設計をはじめる時の第一歩として、敷地図に対して隣地建物の位置と大きさを書き込みます。
隣地が空き地の場合には、そこに将来建物が建つ可能性があるのか、建ちそうな場合にはどのような形態になりそうかを予測します。ここがとても重要なポイントです。竣工後に目の前に建物が建ち、日影になることやプライバシーを守れなくなってしまうことを回避するためです。
そして、次の段階としては、敷地図を見渡して光や風の入り方、隣家との関係性を考慮しながら、建物・庭・駐車スペースの大きなゾーニングをします。
建物だけではなく、外部空間も同時に設計していくことになります。快適な住空間をつくるためには室内と屋外は同等に重要ですので、敷地全体をフルに使って設計をしていくイメージです。
この段階で、中庭型の平面型になるのかどうかの大きな判断をしていくことになります。
狭小密集敷地には特に効果的
コートハウスは、狭小敷地の場合や周辺の建物が密集している場合、そして道路と建物が近い場合には特に効果的です。
あえて建物を敷地境界ギリギリまで寄せて、中庭をできるだけ広く確保したいのですが、中庭の大きさは様々です。
大きな中庭をつくり、室内〜中庭〜室内のつながり方を重視することもあれば、坪庭のような小規模の外部空間があるだけでも室内が快適な環境になることもあります。
外部と内部が魅力的につながる
外に対する閉じ方もプランによって様々です。庭の一辺または二辺が自立塀の場合や、建具(開閉できる格子戸など)が付いている場合もあります。また、ピロティー(駐車スペースや玄関ポーチなど)を通って中庭に至るようなプランもあれば、中庭自体が駐車スペースを兼ねることもあります。
敷地の有効活用の視点から自由な発想をすることにより、プランの自由度や可能性はどんどん広がっていきます。建主さんにとって、そして建築家にとって、長い設計過程の中でとっても楽しい時でもあります。
コートハウス型のプランによって、外部と内部が魅力的につながる豊かな暮らしを実現することができます。敷地の特性・周辺環境を読み取りながら、一度は検討してみることをおすすめします。
コートハウス型の住宅や別荘の設計実例をご紹介していますのでどうぞご覧ください。
林建築設計室・林 隆