高原の風が吹き抜ける家【仕事術】1-5
林隆のコラム
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首都圏での多忙な生活から離れ、週末は車を走らせてこの建物を目指す。そこは安らげる場でありたいし、非日常的な遊び心もほしい。
クライアントさんからは、設計上優先順位の高い項目として ①緩い傾斜地を利用したスキップフロアーにしたい ②ロフトがほしい、という要望がありました。
何回か打合せを重ね、方向性が決まってきたのですが、なぜかしっくりこない。なぜかワクワクしない。恵まれた自然環境をどう解釈すべきなのか。
悩んだ末に4回目の打合せで、今までとは全く違う考え方を提案しました。
高原の風が吹き抜ける家
フリーハンドのスケッチがその日の資料です。居間の南面と北面に、全面開放できる大きな開口部を設けました。まさに ”風が吹き抜ける” イメージです。
自然と積極的に向き合う。この一点で勝負しました。スキップフロアーではなく、ロフトもありません。この日に大きな骨格が定まり、一気に最終プランへと発展していきました。
積み上げてきたものを思い切ってリセット
積み上げてきたものを思い切ってリセットしフィードバックするには勇気が要りますが、本当に大切なことは何かを見極めるには、時には必要かもしれません。
生活をするために必要な機能性は確保したい、でもそれだけではなく付加価値もほしい。
この両者のバランスを整えることが、建築の設計をする上で奥深く難しい部分でもあります。
自然と向き合う暮らし
先日、久しぶりに現地へ訪問しクライアントさんとお会いしました。建物を綺麗に維持してくださり竣工当時のままのようで、楽しい時間を過ごさせていただきました。
この別荘は、現在計画中の「林建築設計室 蓼科アトリエ」の近くです。
林建築設計室・林 隆