長く生き続ける建築とは【仕事術】1-4
林隆のコラム
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静かな森の中に佇むその外観は、何とも美しいプロポーションでした。
東京に住み、軽井沢に別荘を所有する。クライアントさんは、あえて新築ではなく、リノベーションという方法を選択しました。
築43年の別荘を購入し、自然と向き合いながら非日常的な暮らしを楽しめるように手直しをしたい。その設計依頼をいただきました。
築43年の建物が蘇る別荘のリノベーション
以前の間取りは、個々の部屋が廊下で結ばれている当時の一般的なものでした。間取り・構造・性能を全面的に見直し、現代の生活スタイルにあった空間を創るために、いろいろな視点から検討を重ねました。
最終案は、居間・食堂・台所を廊下も取り込んだ一体的な空間にして、浴室やトイレの位置は変更することに。
日本的な設えのある和室は、その雰囲気を残しながらベッドを置く寝室として使います。そして、木製サッシやオリジナルデザインの薪ストーブにもこだわりました。
設計の力によって、建築は長生きをすることができる
築43年の建物が蘇りました。これから何十年も残っていくことは、建物にとって何と幸せなことでしょうか。設計中、工事中、そして今も感じていることは、最初の設計の骨格(配置、平面、外観)が素晴らしかったことです。
設計の力によって、建築は長生きをすることができるのです。
私はこの設計の仕事を通じて、「長く生き続ける建築」「社会的資産のストック」について改めて考え直すことができました。
林建築設計室・林 隆