北に開く家
住宅
松本市
2004年
ガレージ, RC造・混構造, 吹抜け, コンクリート打放し, 受賞作品
第7回長野県建築文化賞/優秀賞
コラム『家は南に向かなくてもいい』
http://www.h-a.jp/gallery/gallery_5737.html
敷地の西に前面道路、南側には2階建ての隣家が接近しており、北と東は畑とビニールハウス、台形の変形敷地という立地。現在の周辺環境の中で、外部から独立した「個の空間」を守り光や風を充分に取り込むこと、また仮に将来南側の家が改築し敷地境界ギリギリまで寄っても、変わらない住環境を維持し続けていけることを重要視し、それをクリアーすることが今回の計画の最大のテーマだった。
その答えは、建物を南に寄せて北側に開くことだった。一般的な敷地のゾーニングとはまったく逆の発想であり、建ぺい率の関係で生まれたスペースを、壁で大きく囲まれた「コート(中庭)」にした。そこは「外部」ではあるが、周辺に対しては「内部」とも言える空間である。コートに導入される「光と影」は時間の流れと共に姿を変え、室内に多様な表情を見せてくれる。
居室は北又は東に向いていて、南に向いている部屋はひとつもない。大胆なゾーニングではあるが、象徴的なコートと随所に配置されたトップライトの効果で、明るく気持ちのよい空間を創ることができた。